会計事務所の採用難が深刻化する理由|人材不足を乗り切る現実的な解決策

会計事務所の採用難が深刻化する理由|人材不足を乗り切る現実的な解決策

会計事務所の採用難は近年さらに深刻化しており、とくに経験者採用は競争が激しく「採れたら幸運」と言われるほど厳しい状況になっています。税理士試験受験者の減少、高齢化、事務所数の増加、業務量の拡大など、複数の構造的要因が重なっているため、従来の採用戦略だけでは人材確保が難しくなっています。

さらに、採用できても定着しない、若手が育ちにくいといった運営上の課題も多くの事務所で共通しています。

本記事では、採用難の背景を整理したうえで、事務所が取り組むべき採用・定着戦略と、採用以外の重要な解決策を解説します。

会計事務所の採用が難しくなっている背景

会計事務所の採用が難しくなっている背景

採用難は単なる人手不足ではなく、業界構造が原因で起きています。人材の供給が減る一方で、事務所数と業務量が増えているため、需要と供給のバランスが崩れ続けています。その結果、経験者採用はどの事務所でも競争が激しく、採用活動の難易度が年々上昇しています。

実務で活躍できる若手人材の不足

直近5年間の税理士試験受験者数は、受験資格要件の緩和を背景に右肩上がりで増加しています。令和3年度の27,299人から令和7年度には36,320人へと約3割増えており、業界としては新たな受験層を取り込みつつあります。

しかし、採用市場では依然として若手人材の不足感が続いています。その理由は、5科目合格者数や実務経験を持つ即戦力層が増えていないためです。合格到達者数は令和3年度の585人から令和7年度には527人へと微減しており、経験者採用の難易度は変わっていません。

さらに業務量は確定申告対象者の増加や副業人口の増加によって拡大傾向にあり、事務所の需要が供給を大きく上回っている構造が続いています。受験者が増えても、採用現場で若手が不足する状況が解消されないのはこのためです。

【参考】令和3年度(第71回)税理士試験結果|国税庁、令和7年度(第75回)税理士試験結果|国税庁

税理士事務所数の増加で採用競争が過熱している

受験者が減る一方で、税理士登録者数と事務所数は増え続けています。平均年齢60代の税理士が多く、平成期に開業した事務所が今も多数存続しているため、「事務所数だけ増えて人材が増えない」という状況が生じています。都市部では経験者採用の倍率が極めて高く、1名の経験者に対して多数の事務所が同時に応募する状況が続いています。

業務量の増加で繁忙期は経験者の奪い合いになる

副業人口や個人事業主の増加、確定申告対象者の増加などにより、会計事務所の業務量は年々増えています。しかし依頼が集中する時期は変わらず、繁忙期は通常月の2〜3倍の業務量になることもあります。結果として、どの事務所も「繁忙期に対応できる即戦力が欲しい」と考えるため、経験者への需要が過剰になり、採用難がさらに深刻化しています。

採用・定着戦略を見直し、多様な人材が活躍できる体制へ

採用・定着戦略を見直し、多様な人材が活躍できる体制へ

採用難の時代では、従来の「経験者採用を中心にする」発想から脱却し、未経験者、シニア、復職者など多様な層を戦力化する仕組みづくりが求められます。また、採用した人材が定着しなければ採用活動が続き、人材不足は解消しません。ここでは、採用ターゲットの拡大と、採用した人材を長く活かすための整備すべきポイントを説明します。

若手未経験・科目合格者を採用する

若手未経験者の採用は、長期的な戦力確保につながる選択肢として注目されています。吸収力が高く、事務所文化に馴染みやすい点が評価されており、試験勉強と実務を同時進行させながら成長する人材も多く見られます。
 採用時点での経験よりも、学ぶ意欲やコミュニケーション能力、税理士資格への本気度を重視することで母集団を広げ、事務所の将来に投資する採用が可能になります。

シニア人材を育成役として活用する

50〜60代の科目合格者や金融・国税OBは、豊富な経験を活かして若手の育成役として活躍できる層です。短時間勤務や週数日の勤務など柔軟な働き方を提供すれば、即戦力として無理なく働ける環境を整えられます。業務フローが明確で分担がしやすい事務所ほど、シニアの力を効果的に活用でき、若手の教育と業務の安定化の両面に貢献します。

育児・介護からの復職者を戦力化する

育児・介護で一度離職した人は、会計実務の経験を持ちながらも再び専門性を活かしたいという意欲が高い傾向にあります。業務の標準化や引き継ぎのしやすさが整っていれば、短時間勤務でも十分な戦力になります。復職者は柔軟な働き方を求める傾向があるため、リモートワークや時短制度との相性も良く、事務所の人材ポートフォリオを安定させる存在となります。

人材が定着する事務所が取り組むべき環境整備

採用した人材が早期に離職すると採用活動が永続化し、事務所の負荷が増え続けます。採用難の時代こそ、「辞めない仕組み」を整えることが重要です。

教育体制とメンター制度で早期戦力化を図る

若手や未経験者が辞めてしまう主な理由は、業務の全体像がつかめなかったり、相談できる相手がいなかったりといった不安にあります。そのため、段階的に学べる研修、実務を支えるOJT、定期的な振り返り、先輩によるメンター制度などを整えることで、安心して成長できる環境をつくれます。
教育体制が整った事務所は採用面でも魅力が高まり、求人票の訴求力も向上します。

勉強と両立しやすい働き方を整える

税理士志望者が入所を決める際に重視するのは、勉強時間を確保できるかどうかです。残業の少なさ、繁忙期以外の時短勤務、リモートワーク制度、試験休暇の整備などは応募数を増やす大きな要素になります。試験と仕事の両立を支援する事務所は人気が高く、採用難の中でも人材が集まりやすくなります。

キャリアパスを明示して長期定着を促す

若手は将来の成長ステップを明確に知りたい傾向があります。入社時点で、科目合格後の役割、昇進・昇格の基準、将来的に任される業務などを伝えておくことで、キャリアの見通しが立ち、長期定着につながります。キャリアパスが曖昧だと不安から転職につながりやすく、定着率に大きく影響します。

採用だけでは解決できない課題に向けた業務効率化の重要性

採用だけでは解決できない課題に向けた業務効率化の重要性

採用活動を強化しても、採用市場そのものが縮小しているため、採用だけで人手不足を解決することは困難です。
そのため「採用できない時期でも業務が回る体制づくり」が会計事務所にとって必須になります。業務フローの見直しや定型業務の削減は、採用依存から脱却し、職員の負荷を根本から下げるために欠かせません。

業務フロー標準化・IT化で属人化を防ぐ

業務が属人化すると教育が難しくなり、採用した人材が定着しにくくなります。クラウド会計、タスク管理ツール、標準化されたマニュアルなどを整備することで、誰でも同じ品質で業務を進められる体制になります。業務が整理されていれば、未経験者や短時間勤務の職員でも担当しやすくなり、人員のばらつきに左右されにくい運営が可能になります。

定型業務を外部委託してコア業務に集中する

記帳、仕訳、証憑整理は年間を通して事務所の時間を大きく奪う作業です。これらの定型業務を外部委託することで、税務相談、顧問先支援、経営助言などのコア業務に時間を振り向けやすくなり、職員の残業削減にもつながります。

記帳代行サービスの中でも「おくるダケ記帳」は書類を送るだけで仕訳・入力まで完了する点が特徴で、30年以上蓄積された品質管理体制があり、多くの会計事務所が実際に「月次処理が大幅に軽くなった」と実感しています。採用が間に合わない時期でも業務を止めず、職員が専門業務に集中できる環境を整えられる点で、採用難の解決策としても有効です。

まとめ

会計事務所の採用難は業界全体の構造的な課題であり、経験者採用だけに頼る運営は今後ますます難しくなります。若手未経験者、科目合格者、シニア、復職者など多様な人材を受け入れる体制を整えることで、事務所は採用の幅を広げながら、長期的な戦力を確保できます。教育体制や働き方の柔軟性、キャリアパスの明確化などを通じて、人材が定着しやすい環境をつくることも重要です。

同時に、業務フローの見直しや記帳業務の外注によって、採用に依存しない運営体制を構築できます。

とくに「おくるダケ記帳」は定型作業の負担を大きく減らし、職員が本来の専門業務に集中できる環境づくりに役立つサービスです。まずは資料請求をして、実際のフローや丸投げできる作業範囲、導入事務所がどれだけ月次処理の負担を減らせたかといった具体例をご確認ください。自社のどの業務を外注すべきかを整理するきっかけにもなり、現場でどのように活用できるのかが具体的にイメージしやすくなります。