会計事務所を経営する中で、「せっかく育てた職員がすぐに辞めてしまう」「繁忙期になるたびに退職者が出て人手不足に陥る」といった悩みを抱えていませんか?
会計業界は一般企業に比べて離職率が高いと言われていますが、その裏には「独立のため」というポジティブな理由だけでなく、事務所の環境に起因する深刻な課題が隠れています。本記事では、離職率が高くなる原因を深掘りし、職員が定着する「選ばれる事務所」になるための具体的な解決策を解説します。
会計事務所の離職率は高い?一般企業との比較と現状
会計事務所の離職率は、一般企業と比較して高い傾向にあるというのが業界の通説です。まずは、客観的なデータや業界特有の背景から、現在の会計事務所が置かれている人材流動のリアルな現状を確認していきましょう。
一般企業の平均離職率との比較
厚生労働省の「雇用動向調査」によると、日本国内の一般労働者の離職率は 8%〜9%で推移しています。
これに対し、会計事務所業界の正確な統計は出ていないものの、体感値として15〜20%を超える事務所も珍しくないと言われています。特に「3年以内の離職」が慢性化している事務所が多いのが現状です。

離職率が15%を超えると危険信号
離職率が15%を超えるということは、職員が数年で総入れ替えになる計算です。会計事務所は「人」が商品であり、顧客との信頼関係が重要です。
担当者が頻繁に代わることは、顧客満足度の低下に直結し、さらに残った職員への業務負担増という負のスパイラルを招きます。
小規模な個人事務所ほど離職率が高くなる傾向
国内の会計事務所の多くは10名以下の個人事務所です。
小規模な組織では、所長との相性や属人的な業務フローが離職に大きく影響します。「代わりがいない」というプレッシャーが、職員を精神的に追い詰める要因にもなっています。
【参考】活動調査 平成28年経済センサス
会計事務所で職員が辞めていく5つの主な理由
職員が離職を決意するまでには、複数の不満が積み重なっているケースがほとんどです。
ここでは、会計事務所の現場で職員が「もう限界だ」と感じてしまう代表的な5つの要因を詳しく紐解いていきます。
1. 繁忙期(11月〜5月)の過酷な長時間労働
11月の年末調整から確定申告、そして3月決算法人の申告が続く5月まで、会計事務所の業務量はピークに達します。この時期の「終わりの見えない残業」が心身を疲弊させ、離職の引き金となります。
2. 単純な仕訳・入力作業の多さによるモチベーション低下
「税務のプロとして顧客を支えたい」と志して入所した職員にとって、毎日数時間、レシートや通帳と向き合う「記帳入力」は苦痛に感じることがあります。「自分ではなくてもできる仕事」ばかりに時間が消えていく現状が、やりがいを奪います。
3. 税理士試験の勉強時間が確保できない環境
若手職員の多くは税理士試験の合格を目指しています。しかし、日々の残業が多すぎると勉強時間が確保できません。「この事務所にいたら一生合格できない」と感じた優秀な若手ほど、試験休暇の取れる大手や環境の良い他事務所へと去っていきます。
4. 所長との人間関係やトップダウンの組織文化
個人事務所では所長の考えが絶対的なルールになりがちです。ベテラン所長の価値観と、ワークライフバランスを重視する若手の価値観が衝突し、風通しの悪さを感じて離職するケースが目立ちます。
5. スキルアップが実感できず、将来に不安を感じる
AIの進化により、単純作業ばかりこなしている職員は自分の市場価値に不安を感じます。より高度な財務コンサルティングや経営支援を学べる環境を求め、転職を決意するのです。
離職率が低い「選ばれる会計事務所」に共通する特徴

職員が定着し、活き活きと働いている事務所も確実に存在します。離職率が低い事務所にはどのような共通点があるのか。人材確保に成功している事務所が行っている「労働環境の仕組み化」について解説します。
残業時間の徹底管理とワークライフバランスの実現
離職率の低い事務所は、ITツールを駆使して「誰が・どの案件に・何時間費やしているか」をリアルタイムで可視化しています。特定の人に負荷が集中しないよう、チーム内で業務をシェアし、担当者の抱え込みを徹底して排除しています。また、繁忙期のスケジュールを前年実績から予測し、閑散期に事前準備を済ませることで業務を平準化させています。残業削減を「個人の努力」に委ねず、事務所側の「管理責任」として徹底する姿勢が、職員の安心感と定着に直結しています。
評価制度が明確で、労力に見合った給与体系がある
「成果を出しても給料に反映されない」という不透明感は離職の最大要因となります。定着率の高い事務所では、担当案件数や売上貢献度といった数値目標に加え、業務効率化への貢献や後輩の育成支援といった、数値化しにくい貢献度も評価項目に組み込んでいます。納得感のある公正な評価基準を設け、昇給や賞与への連動性を明確にすることで、職員のモチベーションを維持しています。労力に見合う「正当なリターン」を可視化することが、長期就業の鍵となります。
最新のITツールや外部リソースを積極活用している
優秀な所長は、職員の限られた時間を「付加価値の低い入力作業」に浪費させるリスクを熟知しています。クラウド会計による自動連携はもちろん、外部の記帳代行サービスを賢く活用することで、所内で抱える単純作業を最小限に抑えています。
単なるIT化に留まらず、外部リソースを「チームの一員」として組み込み、職員をレシートや通帳との格闘から解放しています。こうした「人間にしかできない高度な仕事」に集中できる環境作りが、専門職としてのやりがいを生んでいます。
会計事務所の離職率を劇的に下げるための「予防人事」と「業務改善」

離職問題が起きてから対処するのではなく、問題が起きない組織を作る「予防人事」の視点が重要です。職員の「辞めたい」という芽を摘み、事務所全体の生産性を高めるための具体的な改善ステップをご紹介します。
採用コストをかけるより「定着」に投資すべき理由
一人の職員が離職し、新たに同等のスキルを持つ人材を確保・育成するためにかかるコストは、年収の約2倍から3倍に及ぶと言われています。求人広告費やエージェントへの紹介手数料といった直接的な費用だけでなく、面接対応に割かれる所長の工数、教育期間中の生産性低下、そして残った職員への業務負荷増による連鎖離職のリスクまで考慮すると、その損失は計り知れません。
目先の採用に奔走する前に、今の職員が「この事務所で働き続けたい」と思える労働環境の整備に原資を投じる方が、経営合理性の観点から見ても圧倒的に投資対効果(ROI)が高いのです。
教育体制の整備:属人的な業務からの脱却
多くの会計事務所では「業務が担当者に紐付いている」ため、特定の人間にしかわからないブラックボックス化したフローが散見されます。こうした属人化は、担当者の急な欠勤や退職が即座に事務所の機能不全を招くリスクとなるだけでなく、職員自身にとっても「自分がいなければ仕事が回らない」という過度なプレッシャーや休暇取得の妨げとなり、離職を促す要因となります。
マニュアルの徹底や標準的なワークフローの構築を進め、誰でも一定の品質で業務を遂行できる体制を整えることは、事務所の危機管理であると同時に、職員の心理的負担を大幅に軽減し、定着率を高めるための不可欠な施策です。
単純作業を切り離し、職員を「単純作業」から解放する
離職防止を確実なものにする最大の鍵は、職員を「専門家にしかできない付加価値の高い仕事」に集中させる環境作りです。特に負担が大きく、かつ誰がやっても結果が変わらない「記帳入力」などの単純作業を外部へ切り離すことは、職員の満足度向上に直結します。
記帳入力をアウトソーシング化することで、職員は顧客との深いコミュニケーションや最新の税制に基づいた高度なコンサルティング、自身の専門スキルの習得に時間を割けるようになります。こうした「自己成長」を実感できる環境こそが、専門職としてのやりがいを醸成し、他事務所への流出を防ぐ強力な楔となります。
職員の負担をゼロにする解決策「おくるダケ記帳」の活用

会計事務所の「長時間労働」と「単純作業の多さ」を解消する画期的な手段が、記帳代行サービス「おくるダケ記帳」です。本サービスは、領収書や通帳コピーを専用封筒で郵送するだけで、スキャンから仕訳入力までをすべて依頼できる会計事務所・税理士事務所専用のアウトソーシングです。
導入により、繁忙期の深夜残業を劇的に削減できます。空いた時間は顧客への経営アドバイスや節税提案といった高付加価値業務に充てられるため、職員のキャリア形成を助け、仕事へのモチベーションを飛躍的に高めることが可能です。採用難が続く昨今、新たな人材を雇わずに生産性を最大化できるこの仕組みこそが、最強の離職防止策となります。
まとめ
会計事務所の離職率を下げる鍵は、職員を「単純作業」から解放し、専門家としてのやりがいを実感できる環境を整えることにあります。
慢性的な長時間労働や入力業務の過多は、優秀な人材が去る最大の要因です。新たな採用にコストを投じる前に、まずは記帳代行等の外部リソースを活用し、既存職員の負担を軽減する「仕組み化」を行いましょう。
職員を単純作業から解放し、定着率と収益性を同時に高めたい方は、「おくるダケ記帳」のサービス資料にて導入効果をご確認ください。













